服部睦美 展

巷房 東京都中央区銀座1-9-8 奥野ビル3F 03-3567-8727
12:00-19:00 日曜休(http://www.spinn-aker.co.jp/kobo.htm)

1994 東京芸術大学大学院工芸科鍛金修了/1999 Gallery B-One・銀座/2000 巷房・銀座/2001 ギャラリ-点・金沢、服部睦美金工展、ギャラリ-田中・銀座/2002 Gallery inos・目黒/2003 巷房・銀座/2004 METAL ART MUSEUM HIKARINOTANI・千葉 印旛沼湖畔

私達は生きていく為に

何を得て何を知っているのか。

失ったものと得たものは等価値だったのか!

単純な事はいつも一番難しい。

・・・技法は鍛金。一点制作するのに時間はかなりかかるのでは?

 まずイメージを決めるのに時間かかりますね。音楽を聴いたり、バイクに乗ったりしながらひたすらイメージが降りてくるのを待っているんです。それでかなりの枚数をエスキースして絞り込んで、そこから図面を起こして、金属を切ってパーツごとに組んでいかないといけないんですよ。
組んでつけた段階でクリーンに磨いて、次に上下をつけて、 上下をつけた段階でまた磨いて仮組みして、あわなければまた外して・・・当然後半になれば後半になるだけ仮組みの解体と組み立てに長く時間かかるんです。それでここがダメかなと思った場所は、火をかけるのでまた磨き直す。それを延々と繰り返すんです。
ですから叩いている時間よりも組んだりする時間の方が長い。頭がカーっと、なっているときよりも、冷静に考えている時間の方が長いですね。端的にいってこれを作ると決めたら、細部までイメージを出し尽くしてしまって、その後は職人作業なのでひたすら作り続けるしかない。

・・・作ってる途中で変更はできないんですか。

 作ってる途中で変更するとどんどん変わっていってしまうから、きりがないんです。下手をすると、自分が作りやすい方向にいってしまうので、できるだけ変えないようにしています。でも組む順番を一つ間違えるだけで絶対に、組みあがらないんですよ。最後まで何回も手順を確認して作業してるから、考え込んでいる時間の方が長いですね。

・・・立体は平面と違って3次元の空間を意識しなければいけないから、難しいでしょうね。

 360度、上下を絶えずイメージしていなければいけないんです。前の形を考えたときには、絶えず後の形を考えていかなければならない。これは訓練しないと難しいかもしれません。私は美術をはじめた時点から、立体をやりたいと思っていましたから、最初からそういうつもりで、ものを見ているのかもしれない。だから、今は走り書きするだけで、立体が頭のなかに浮かんできます。

・・・何かを削って形を作っていくのではなく、パーツを組み立てるということがすごいですね。

 彫刻家の方が私の作品を見て、これは彫刻のカテゴリーには入ってこないといわれたことがあります。組んでいくという考え方自体が工芸家だと。

・・・作ってる途中で変更はできないんですか。

 作ってる途中で変更するとどんどん変わっていってしまうから、きりがないんです。下手をすると、自分が作りやすい方向にいってしまうので、できるだけ変えないようにしています。でも組む順番を一つ間違えるだけで絶対に、組みあがらないんですよ。最後まで何回も手順を確認して作業してるから、考え込んでいる時間の方が長いですね。

・・・立体は平面と違って3次元の空間を意識しなければいけないから、難しいでしょうね。

 360度、上下を絶えずイメージしていなければいけないんです。前の形を考えたときには、絶えず後の形を考えていかなければならない。これは訓練しないと難しいかもしれません。私は美術をはじめた時点から、立体をやりたいと思っていましたから、最初からそういうつもりで、ものを見ているのかもしれない。だから、今は走り書きするだけで、立体が頭のなかに浮かんできます。

・・・何かを削って形を作っていくのではなく、パーツを組み立てるということがすごいですね。

 彫刻家の方が私の作品を見て、これは彫刻のカテゴリーには入ってこないといわれたことがあります。組んでいくという考え方自体が工芸家だと。

 存在を認識するということは、バーチャルな世界に住むことではなくて、自分の足で歩いて、色々な場所に行って色々な人に会って色々なことを経験すること。その時々の出来事に、すごく悩むかもしれないけれど、そこで“私がここにいて、私なんだ”と、自分という存在がわかると思うんです。
そういう意味で「移動」ということは大事だと思いますね。私は今、中学校で子供達を教えているから余計に、自分の足で歩いて、色んなことを経験することを勧めてあげたいんですよ。勧めてあげたいという願いが自分の中でずっと渦巻いているから、こういう形になって出てきたのかもしれませんね。

 服部さんの作品は、「移動」 がテーマ。でも現実には皆が閉じ込められているという意識がある。その目に見えない檻は社会や文化という名であり、自分自身の身体かもしれない。そこからの移動は不可能。されど飛翔を試みる。“コギト・エルゴ・スム”とつぶやきながら・・・。
~6月4日まで。