村瀬法子展

1957 岐阜県生まれ
1997 岐阜県美術展
    第5回98現代美術小品展
    岐阜県美術展
    第5回美濃和紙あかりアート展(ライトアッブ賞)
1999 岐阜市美術展
    第14回国民文化祭・ぎふ99
    個展(ギャラリーB・ONE)東京 京橋
2000 個展(ロゼ画廊)岐阜
    岐阜県美術展
    第10回 紙わざ大賞展 静岡(島田市)
    岐阜市美術展
2001 OPPAIAKT LAB,京都
    第11回 紙わざ入賞展 静岡(島田市)
    個展(小野画廊)東京 銀座
2002 個展(小野画廊)束:京 銀座
    第28回 東京展
2003 個展(小野画廊)東:京 銀座
    個展(日税アートギャラリー)東:京 新宿

女は、生命力を肌で感じます。
生きていく躍動感を肌の温もりとして感じます。
そうした温もりを私の紙たちから人に伝えることが私の願いです。

・・・タイトルは「具体と具有」。少し説明していただけますでしょうか。

二つの要素を一つにするというか。その接点を表現しています。画面を見ていただければわかるように平面でありながら、立体を表しているんです。

・・・相反するものを一つにするということですか?

例えば「実態と虚構」であったり、「男性と女性」であったり、そういうものを一つのものに表現するという意味なんです。「男性と女性」であれば女性を表現することによって、相対する男性の存在を浮かび上がらせ、人間全体を表現しています。

・・・作品は女性のお尻の様に見えるのですが・・・。

お尻を作ったのは、自分自身が女であるということから、自分自身の身体感覚が一番わかりやすいので制作いたしました。
タイトルにつけた「具体と具有」の具体は、実体としてお尻であり、具有というのは、感情や思い。内面的なものを色とか形で表現してるということです。

・・・互いに一致しない、相容れない反対の関係にあるものを、一つの画.面に表現することによって、お互いの存在を認識し、調和あるものとしての世界観を構築するということなんですね。お尻のスタイルはかなり以前から、制作されているのでしょうか。

以前はオッパイを作っておりました。要するにボディーを作り続けているんです。

・・・作品を拝見していて、イブ・クラインの「アントロポメントリー(人体測定)」というシリーズ。魚拓のような作品を思い出しました。

私の作品のスタートは、ボディーの拓本を墨でとったことからなんです。イブ・クラインのクラインブルーは有名ですが、私はよく赤い色を使います。赤はエネルギッシュなイメージがあるからです。お尻に白を使ったのはわざと紙の質感を見せるためなんです。

・・・素材は和紙を使われているのですか。

和紙ではなくてヴァージンパルプです。和紙はコウゾ、ミツマタ、ガンピなどの靭皮繊維で出来ていますので、繊維が強いので溶かせないんです。ヴァージンパルプは、パルプなどを原料とした機械抄きの紙ですから溶かしやすい。技法的には、ヴァージンパルプを溶かして新たに固めています。紙を使う理由は肌をイメージしているのです。ざらっとした紙の質感が肌に近いというのもありますし、紙そのものを使うことによっていろいろな可能性を見いだすことができる。そこに魅力を感じています。

・・・質感もそうですが、紙のもついろいろな表情を引き出されているように思います。

いったん出来上がった紙を、また原初の状態に戻して、紙の姿や形を変えながら変容させていますので、そこから自由な表現が生み出せると思っています。これからも女性をイメージしたボディーを作り続け、紙を使って表現していきながら、もっと自分のイメージを膨らませたいと思います。

~18日まで。