浅川 洋 展 ASAKAWA YOH

2008年11月3日(月)-15日(土)
Solo exhibition 2008.5.30(Fri)-22(Thu) (closed Sunday) 11:00-19:00

かねこ・あーとギャラリー東京都中央区京橋3-1-2 片倉ビル1F TEL 03-3231-0057
http://www11.ocn.ne.jp/~kanekoag/

・・・タイトルは「COUNT」。

 「COUNT」のシリーズは2004年から制作しています。

・・・2005年、2006年と作品を拝見していますが、今回はかなりモノクロのイメージが強いように思いますが・・・。

 今回は制作中に霊場『恐山』に行きました。それがきっかけになって白の作品が生まれたように思います。はじめはもう少し色が多い作品でまとめるつもりだったのです。
私の印象では『恐山』は強烈な白のイメージでした。帰ってからそれまでに制作した作品を眺めると、作意的なものがとてもわずらわしくなったんです。それですべて塗りつぶして白くしてしまいました。その時、これは恐山の白だ、と思いました。『恐山』を意識して白を塗ったのではないのです。しかし、白を使っているうちにとてもリアルに『恐山』で見た光景がダブってきたのです。

・・・白のイメージですか。

 『恐山』は高野山、比叡山と並ぶ日本三大霊場の一つですが、高野山や比叡山は仏教を極める修行の場だと思います。でも『恐山』は地蔵信仰を背景にした死者への供養の場、死んだ方達への思いが集まって来る場だと思いました。だからか空気がとても重い。人々の生々しい思い、切実さが充満しているからでしょう。
だから、そういう思いを浄化させる場としてあるのだろうと感じました。
今回の展示にあたってコメントを書いたのですが・・・。

【 『ただそれだけの数』となった、無姓名の集積の中に、宿っている魂がある。いつも生きている火として、きまっただけ燃え、きまっただけ消えながら】

私たちはそれぞれ名前を持っているけれども、死んで個別性が無くなり無数の層となって積み重なっていくわけです。その「無姓名の集積の中に」無数の人の思いが込められている。『恐山』にはその思いが生々しくあった。『恐山』の白はそれらを浄化してくれる白でした。ドローイングと対峙してみると、私個人の作品に対する感情や思いなどは大したことではないのです。それですべての痕跡を白で浄化させてみようと、消すことによって画面に現れて来るものがあるのではないかと思ったのです。

・・・ある意味カタルシス的な要素が強いということですね。数字にゼロが多く見られるのも死を意識してのことでしょうか。

 それよりも3という数字を意識しました。3には始まり、中間、終わりがあるので、過去、現在、未来とも読み取れる。また3はキリスト教では父・子・聖霊の三位は一体であるとする教理があり3は神聖なものを象徴する数字である。また、3次元、空間を表す数でもある。3という数字を描きながら3について文献を調べると、今自分の考えていることと数字の意味がマッチして、重層的なイメージがとても広がりました。
今回作品のタイトルに「COUNT - so many 」とつけたのも3000とか30000・・・さらにそれ以上、3を最初につけてカウントしていこうと思ってやり始めたからなんです。ですからゼロが多くなったように見えるのでしょう(笑)。

・・・少し話が変わりますが、「風卵」という冊子を出されたとお聞きしました。

 今回で4冊目になります。現代短歌を創っている歌人の黒沢忍さんとの共著です。他にゲストの作品も入っています。短歌と美術のコラボレーションで何か形にしていこうという発想から作ったのがこの冊子です。
美術以外のジャンルとの関わりを持ちたいと思い始めました。

・・・短歌を読ませて頂きましたが、言葉の意味や情景を重視するというよりも、言葉のなかに持っている音の層みたいなポリフォニー的な要素を大事にしているように思えました。

 今回の私の作品もそうなんですが重層していくモノを意識して創っています。冊子のはじめは古事記のイザナミとイザナギのくだりからはじまり、作品の上部に記した数字はチェルノブイリの事故の日付けであったり、ベルリンの壁の崩壊の日、イラク戦争の日付など私自身が衝撃を感じた日時を入れ、下部に日常に即した言葉を入れています。世界史的な出来事と日常とのギャップを表しています。
今までの作品と今の作品とこれからをトータルに考えてみたいと思い創りました。
個展ともども色々な方に見て頂ければ幸いです。

~15日(土)まで。

関連情報 2006年11月  2005年7月

(C) ASAKAWA YOH