すずき たもつ 展 ―地にしゅむ。空にハナ―

2008年9月8日(月)-20日(土) 11:00-19:00

Gallery OII 東京都大田区中央3-2-16 TEL 03-5709-4270

・・・タイトルは「地にしゅむ。空にハナ」。しゅむとは。

「地にしゅむ」は99年の修了作品のタイトルでも使ったのですが、僕にとっては素材とのやりとりを表す言葉なんです。
言葉の本来の意味は「染み込むとか、染まる」。漢字で表すと「染(しゅ・し)む」となります。
僕は香川県出身ですが、香川県では今も使っていて染まっていく様などを表します。

 

・・・作品の形態は植物を題材にされているわけですが、植物は生殖器官としての花を持ち、実を結び、種子によって繁殖して生命循環のサイクルを人の目に可視的に示してくれますよね。その秘められた「気」は他の動物に与える影響も強いと思います。そういう意味合いで選ばれたのでしょうか。

植物はいちばん身近にあって育つ速度というか、動く速度がいちばん早いと思うんです。
生命力というか力を感じる形ですので、そういう影響は受けていると思います。

 

・・・形態の抽象性とモノトーンの色合いがとてもインパクトを与える作品だと思うのですが、モノクロにされたのは生と死のメタファーとしての意味合いが強いのでしょうか。また、今回五本の作品が展示されていますが、数に関してはいかがですか。

空間を意識してのことですので、特に数に関しては意味はありません。一本でも独立していますし、たくさんあっても成立するものだと思っています。白黒に関してとか形に関して言えば、植物は基本的にいろいろ機能が備わっていて、それは例えば遠くに種を飛ばす機能だとか虫が寄って来る色だとか、そういうところはとても精巧にできている。だからといってその真似をするとか、模刻をするつもりもはじめからなく、全体から得られる勢いだとか枯れていく様とか速度の変化を表現してきました。また植物のもっている色彩はすごく鮮やかで幅が広いですけれども、色のイメージは人によってさまざまです。その機能をなくしたときということで、逆にイメージが広がるのではないかと思いモノトーン調にしています。
ちなみに作品の色は伝統的な呼び名でいう黄瀬戸という釉薬をかけて焼成して出しているんです。

・・・以前の作品は地面に寝せている作品が多かったように思うのですが、今回は立っている。空を意識されてということでしょうか。

そうですね。空というよりも上に伸びることで少し開放的なところを表現しました。ですから背景としての雲は作品と一対ですので重要な意味をなしています。

・・・素材は土を焼成した陶。

もともと僕は器の表現が好きで、どちらかといえば工芸からの素材へのアプローチなんですけれども、器を作って行く中で土の持つ素材の可能性に触れたときから造形の仕事がはじまりました。

 

・・・陶は土と火を使わなければできないものだから形の制約もかなりあると思うのですけれど、逆に言えば自然の力を取り入れる他力的なプロセスを踏まなければならないもの、ある意味制作に対して作り手の無意識の層からの心象と物質としての土との出会いが新たな造形をつくる可能性があるように思うのです。工芸というカテゴリーは、素材によって人間が分けたジャンルでしかないような気もします。

一時期、器を勉強してるときから造形の仕事に移ったときに、やはり工芸的な目で見られることに少し抵抗がありましたが、現在は自信を持って陶芸家と名乗ることができます。
陶芸家が素材を通じて表現できる範囲での仕事として展開をしているので、他の素材を考えることはなく、土と素直に向き合い表現していきたいと思っています。

・・・これからの展開も、インスタレーション的な空間設定を考えていらっしゃるんでしょうか。

これからいろいろな空間に出会っていろいろな表現をしてみたいと思っています。やはりインスタレーションという空間を使った仕事はすごく魅力的なのでこれからも多く展開する形の一つではないかと思っています。

~20日(土)まで。

(C) Suzuki Tamotsu