岡野 博展 2007

【Part1】 2007年10月22日(月) - 28日(日)11:00 - 19:00 (初日16:00開場 最終日 16:00閉場)
会場:シンワアートミュージアム 東京都中央区銀座7-4-12 ぎょうせいビル
【Part2】 2007年10月30日(火) - 11月15日(木) 11:00 - 19:00 (日・祝 休廊)
会場:銀座柳画廊 東京都中央区銀座5-1-7 数寄屋橋ビル3階 Tel:03-3573-7075
http://www.yanagi.com/ Mail:info@yanagi.com

・・・今回は全て日本の風景での構成ですが、フランスにかなり長くお住まいになったとお聞きしました。日本の風景を描かれるきっかけを教えていただきますか。

前回が分岐点だったのかもしれません。前回まではフランスの風景と日本の風景を半々で描いたのです。私の絵を描くスタンスとしては、「もの」を見て血となり肉となるまでデッサンをして、そこでようやく前へ進む。フランスには13年間おりましたけれど、最近になって日本の風景が自身にピタッと重なって来たといいますか。それがある意味自然なのではないかと思っております。

 

・・・作品を拝見しておりますと、先生がデッサンをされていたその情景、例えば海にカモメが飛ぶ風景であればカモメの鳴き声、広大な風景であれば陽の光や風の音など、先生が感じられていたであろう情景が、見る側にフィードバックしてくるような印象を持ちました。

僕の絵は自身の主義主張を押しつけるわけではないですから、見る人の自由だと思っております。むしろ見る人のイメージが広がっていけば良い。逆に言えば僕自身もいつも自由でありたい。ですからデッサンの段階で、「もの」から解き放たれた状態にたどり着ければ、色彩ももっと自由に使えると思っているんです。

・・・カタログに日本列島が描かれていましたが、(下北、八戸、岩手、朝日町、会津、市原、鴨川、山梨、白馬など)今回描かれた場所ですか。

下北へは、前回馬を描いたのでまた行ってみたいと思いました。ただ、下北へ行ってこれを描こうと思ったとしても全然だめなんです。デッサンをしていて急にパーンと入ってくるといいますか。多分断定的に決めてしまうと弾き返してしまうのでしょうね。いつも自身を広めて入れる状態にしていないとダメなんです。

・・・何ものにも囚われずに自由だからこそ入って来るということですね。キーワードは自由。同等の比重で絡み合うリズミカルな色彩の複数の異なる動きにポリフォニー性をとても感じます。

描いた跡が動いていないと嫌なんです。最初に計画を立てて描くのではなく、一つ絵具を置いたら次の絵具という風に、次々に絵自身が展開していく。それが動きや生命力につながると思っています。いくら上手く描かれていても、絵は止まってはダメ、それは死んだことと同じことなんです。それに油絵というのはポリフォニー的というか、色々な層を積み重ねることによって強くなる。縦に積層する要素は重要だと思っています。

 

・・・積層する層は記憶の層ともリンクしているのではないかと。その層は、例えば見る側であれば、見ることによって自身の身体に垂直に降りていき、日本で言えば日本の心に触れたときに何かを感じられるのではないかと思うのですけれど・・・。

日本人の血はとても意識しています。描いていて、右に行こうか左に行こうか、その選択は頭ではなくて体内の奥深くで血がさせると思う。よく伝統破壊というけれども伝統は破壊できるものではない。ずっと血は受け継がれて来ているわけですからね。

 

・・・画業は40数年、ずっと絵を描かれて・・・。

絵を描いていて良かったと思いますね。夕暮時にスケッチをしていると、風景と一体になれたような気がして、これが至福の時なのかなと思いますよ。

(c)Okano Hiroshi