高島屋美術部創設百年 大森暁生展

200年4月19日(木)-5月1日(火)
新宿高島屋 10階美術画廊 TEL 03-5361-1111  http://www.takashimaya.co.jp/

・・・タイトルは「Lunatic party」

LunaticはLuna(月)から派生した言葉で、月に影響されて気が触れるというような意味合いがあります。partyとつけたのは、今回の会期が新宿高島屋のグランドリニューアルに際し新設された美術画廊のオープニングであるため館内のさまざまなショップで華やかなパーティーが開かれるなか、画廊では「裏パーティー」というのがコンセプトのうえで展示構成したからです。また今回の個展は高島屋美術部創設百年企画でもあります。そんな大事な節目に作り手としてほんの少しでも華を添えられたら、という気持ちもタイトルに込めたつもりです。

・・・2005年の「Gothic Lunatic」を発表された頃から、エロティシズムをイメージされているのでしょうか。

意識したというよりも、自然な流れだったのかもしれません。20代の頃には「KAZAKIRIのシリーズ」や「ぬけない棘のシリーズ」など、内面の部分をテーマに制作していましたが、その後ファッションブランドとのコラボレーションなどがきっかけで、より普遍的な表現方法を学びました。一般に原宿や表参道などのブランドカルチャーに興味を持つ年頃に僕は当時学生で、名古屋の奥地で真面目に美術をやっていましたので(笑)、自分の中にそういうカルチャーがなく、30代になってお仕事を依頼された際(ブランドの立ち位置を理解するため)仕事を通して勉強しているうち、別の知らない世界を垣間見たようですごく面白かったんです。洋服は昔から嫌いではないのですが、そういうカルチャーに触れたのは30歳を過ぎてからの ”デビュー” なんですよ(笑)。

・・・「2005春夏パリコレクション」でのUNDER COVER とのコラボレーションの写真を拝見しました。木の帽子が印象に残っています。

UNDER COVERさんとのコラボ作品は2004年の10月にパリで発表しました。同時期2004年のBunkamura Art Showでは動物をテーブルや鏡に取り込んだ作品を発表したのですが、この家具のシリーズがある意味それ以降のGothicシリーズの先駆けになったのではないかと思います。ただ、僕が最終的に作りたいものは普通の具象的な木彫作品なんです。若い頃公募展に木彫りの等身大の犬を出品したことがあるのですが(ある犬を雑誌で見かけて惚れ込んで、飼い主に頼み込んで制作させてもらいました)他の人が見ればただの犬にしかすぎないかもしれないけれども、その犬のもっている雰囲気や僕が共感したバックグラウンドを彫り込みたかったといいますか・・・。
でもそれが人に伝わらなくて「上手に犬を彫ったと思うけど、犬の置物に見える」と言われて落選してしまいました。でもそのひとことは悔しかったけれども当然だと思っています。ですからまずバックグラウンドが人に伝わってから彫ってもいいのではないかと思うようになったのです。

・・・バックグラウンドが人に伝わるとは・・・。

「大森暁生はこういう世界観を持って作品を制作しているんだ」ということが伝わって・・その時に「人の顔や犬」を彫れば見え方が違うのではないかと思うのです。ある意味トゲを生やしたのもGothic系のダークなイメージもそこに行き着く為の演出です。だからといってその時々の過程を中途半端にすることなく、夢中になって真剣に作っていますけれども、最終的には何も演出をしない作品を作りたいと思いますね。

・・・1997年に-KAZAKIRI-(ギャラリー山口・京橋)で初個展、10年あまりの間に新宿高島屋で個展をするというのは、すごいスピードだと思うのですけれども。

初めに個展をしたときは貸画廊でしたので金銭的な負担もそうですが、写真撮影からDMの手配まですべて自分でこなさなければいけませんでした。いくら好きなこととは言え、それを30歳過ぎてまでやるのは精神的に厳しいと思いましたし、将来コンスタントに作品を制作していけるようなラインに乗らなければ続けていかれないと思ったのです。当時は籔内佐斗司先生の工房でアシスタントをしていましたが、今から振り返るとそれがとても勉強になったと思いますね。籔内工房はスタッフも大勢いますが、多分日本一速いスピードで作品を制作する工房です。工房と個人ではスピードが違うのはしょうがないと思いますが、あのスピードを目の前にしていたら、年に1回や2回の発表では、自分がサボっているような気持ちになってしまって、そのスピードに引っ張られるみたいに自身もやってこられたのが良かったのではないかと思っています。

・・・周りとの出会いが道を開いたということですか。

おかげさまで一流の画商の方々ともお付き合いができて感謝しています。それと、今まで展覧会ごとにテーマを決めてきたのが、ご覧になる方にも伝わりやすかったのかもしれません。僕としてはテーマがあった方が作りやすいんですよ。まだ具体的には言えませんが、これから先の個展テーマもある程度決まっています。

・・・ところで、その都度空間の下見をされてから構想されるのでしょうか。

そうですね。展覧会前に展示空間の模型を作り展示構想を練ります。また、東美アートフェアーやアートフェアー東京(NICAFを含めた)やGEISAIなど、いろいろ出品させて頂きましたので、ブースの使い方も慣れてきています。普通彫刻の展示は時間がかかるのですけれど、僕のブースは一番早いと自負しているんですよ(笑)。ただ、今回はデパートの画廊のオープニング展ですし、一生のうちに何度もできるものではないですから結構緊張しました。

・・・大作から小品までバランス良く展示されていますが、言い方は悪いですがデパート展示の場合、売り物が主になるケースもありますよね。

もともと僕にとっての大作と小品の存在というのは、例えばファッションブランドのコレクション作品などが日常性を重視するよりも考え方や理念を全面に打ち出し、そこからフィードバックさせた実際に販売される作品をファンが身につけることによって、その理念や思想までを身にまとったような誇りを感じる、そういったバランスを理想としています。
ですから、個展の場合は大作はやっぱり必要ですし、それを中心に空間を創り上げるための小品が演出的にも必要ですし、商売的にも不可欠になってきます。
今回は美術画廊だけでなく、2F吹き抜けのウェルカムゾーン、アクセサリー売り場、コンシェルジュカウンターなど、館内さまざまな場所に展示をしながらお客様を画廊へ誘導していくという試みを高島屋の方達と創り上げました。今までとちょっと違う展示方法ですので、一度足を運んで頂ければうれしいです。

画歴等、詳しくはこちらをご覧下さい。
大森暁生ページ http://www.gaden.jp/arts/ohmori.html

(c) Ohmori Akio