斉藤文孝 展 「象景」・T
〜もう一つの世界〜

2007年1月29日(月)-2月10日(土)

11:30〜19:00 最終日は17:00まで 日休

art space kimura ASK?

東京都中央区京橋3-6-5 木邑ビル2F

TEL 03-5524-0771

斉藤文孝 略歴
1976年 埼玉県生まれ
1998年 武蔵野美術大学造形学部油絵学科卒業
2003年 個展(アートギャラリー環)
2004年 個展(アートギャラリー環)
  国際インパクトアートフェスティバル(京都市立美術館)
2005年 第22回ARTEX現代美術国際交流展(JCAA)
  DISCOVERY2005(青華画廊)

今回の展示は、これまで取り組んできた「無形の性状」シリーズからの展開にあたります。
出品作品は、色彩をおさえ鉛筆や墨を用いた毛筆による線表現を中心に行ってきました。
以前までの「無形の性状」シリーズとは方法的な面においても多少の違いがあります。 
是非ご観覧ください。

・・・タイトルは「象景」・T、副題は「もう一つの世界」少しご説明ください。

以前より「無形の性状」のシリーズを制作してまいりました。「無形の性状」といいますのは、自然の活力が創り上げた本質的な性質を芸術と切り離すのではなく、その連なりをもう一度回復し捉え直すという視点で制作したものです。今回の「象景」というテーマへの展開は、「無形の性状」よりも具体的なものが生まれる過程といますか。突き詰めていけば意味の転成だと思っています。

・・・転成というのは、ある物が性質の違った別の物に変わるということですか。

今まで『線』という還元化された要素に限定して作品を制作してまいりました。でも今回は、『線』を単純に還元化された造形要素として捉えるのではなくて、「象」として意味をもう一度捉え直してみることで、もう一度再生し直すことはできないだろうかということなのです。

・・・再生し直す。

例えば点や線を「象」という考え方で捉えてみる事によって、美術における根元的な生命表現としての多様な象として、外界の有機的なモノたちとの関係を取り戻せるのではないかと思うのです。
また、画面の中で「象」を重ね合わせ組合せることで、雲や人などの記号的な意味性から離れ、根源的な概念を取り戻すことによって(点や線が作り出す絵画のイリュージョン的性質を含めて)新しい形ができてきたり、それを追求して行くことが「もう一つの世界」が表出することにつながるのではないかと思います。
私は制作おいてそういう方向性に可能性を感じているといいますか。それがミニマム以降の美術史的なテーマだと思っています。

  

・・・ミニマリズムというのは、イリュージョニズムの排除といった、ある意味個人からの逸脱という側面もありますね。

個人といいますか、人間というものどういうふうに捉えるかだと思うのです。近代というのは、外界から隔離された単体として人間を捉えていると思うのですが、それを突き詰めて行った末の個人主義はとても息苦しいところがあるように思います。ですから美術も同じように、フォーマリズムなども、自己表現をする上で余分なイリュージョンを全部削ぎ落として根元まで突きつめて行きますと、その先にあるものが少し息苦しいというか。そこには自身の内面を追及していく息苦しさがあると思います。逆に言えば人間も自然の創り上げた造化の一部である以上、自己や個人と外界を切り離して捉えてしまうとリアリティを損なうように思うのです。ですから、もう一度生命連帯のなかで何が見えるかを捉え直してみたい。

・・・捉え直すことで、微妙な揺らぎの空間にアプリオリに存在する何かが形を形成していく過程が見えてくるのかもしれませんね。

でもそれは空間の中の象ということでもなく、自然の活力に忠実にそれを自身の身体性に重なることで、例えば雲が時間の中で変化していくみたいにいろいろな形ができてくる。そういう時間を伴った世界のリアリティーが制作の中で取り戻して行かれるのではないかと、そこに私は抽象絵画からの展開の可能性があるようにも思います。

・・・これからは。

「象景」・TはPart1〜3くらいまでの展開を考えています。ですからこれから色が入ってくるかもしれませんし、形がより変遷していくかもしれません。でもそれはこれからの展開だと思っています。

〜2月10日(土)まで。

 

(c) SAITO Fumitaka