樋口 薫 展

2007年1月29日(月) - 2月3日(土)

12:00-19:00

gallery 坂巻

東京都中央区京橋2-8-18 昭和ビルB2F

TEL 03-3563-1733

--関連情報--

樋口薫 略歴
1988 多摩美術大学 絵画科日本画専攻 卒業
1990 同大学院   絵画研究科    修了
  平成2年度 文化庁インターンシップ フレスコ画を学ぶ
個展
1992 彩林画廊(横浜)
1993 '95 '97 ぎゃらりいセンターポイント(東京)
2001 '03 藍画廊(東京)
2004 '05 柴田悦子画廊(東京)
2007 ギャラリー坂巻(東京)
グループ展
1985 '86 '87 麒麟展 (鎌倉市民ギャラリー)
1985 〜 '01 創画展
1986 〜 '92 神奈川県美術展('90 特別奨励賞、'91 準大賞)
1988 '89 表現の現場展(多摩美術大学上野毛校舎)
1989 '90 '91 起・点 展(有楽町朝日ホールギャラリー,麻布工芸館,大分二宮美術館)
1990 〜 春季創画展('90 '00 春季展賞)
フィラン大賞展(準賞)
1992 「 NEW VOICES 」
  Contemporary Japanese Paintings(アメリカ巡回)
1993 神奈川アートアニュアル(神奈川県民ギャラリー)
1994 横浜の作家たち展(横浜市民ギャラリー、上海美術館)
2006 「数寄に遊ぶ・日本画」(横浜高島屋)
収蔵
  ミネソタ州立ベミジ大学 ターリーギャラリー(U.S.A.)
  神奈川近代文学館(横浜市)
  神奈川県立保健福祉大学(横須賀)
  財団法人 地球環境戦略研究機関(葉山)

・・・タイトルは「宙(そら)」。そらという字は、時間の広がりを表すと云われていますが、作品を拝見していると、時間を超えるといいますか。次空を超えるイメージを感じます。

元々の作品のテーマとして時間の流れは意識しています。「宙」といいますと、青い空とか曇り空とか表層的で表面的な意味合いがありますけれど、むしろ自分を取り巻く環境のようなものを「宙」という意味で使いたいのです。

・・・自身を取り巻く環境といいますのは?

空気がなければ空気中に生息する生き物は存在できないし、水がなければ水の中で暮らす生物も存在できない。でも空気や水を意識しているかというとそうではなく、意識はしていないけれども、生きとし生けるものの存在になくてはならない。そういう自然環境のなかで、松であるとか、蝶であるとか、雀であるとかいろいろのものが生かされているわけじゃないですか。そういう意味の「取り巻く世界」ということなのです。
この松は御蔵島の大きな松の一枝をスケッチしたものです。本体は枝の八倍くらいの幹でした。実際に見ているのは松の枝なのですが、形ではない形のようなものが、現れるというか見えたというか。多分それは空気の流れであり、松自身から発するオーラみたいなものなのかもしれません。今回は飛ぶとか舞うを主体に、例えば雀が飛ぶことで空気を表していたりとか、蝶が舞うことによって流れが見えるのではないかと思ったのです。

・・・それは樹の中に宿っている精霊と大気との交信みたいなもの・・・視覚ではとらえられない不可知なものだけれども、流動するエナジーの流れが見えるというか。流動するエナジーのメタファーとして蝶や雀が描かれているということですね。具体的な形のものは、人の意識を呼び込みやすいわけですから。

そうですね。流れを描くだけでは流れになってくれないんです。ですから具体的なものが必要だと思って描くようになりました。確かに蝶や雀でなくても構わないんですけれども、
見る人にとっては、具体的なものがないと入り込めなくなるように思うのです。それに具象的なものが描いてあるとぞんざいに出来ないというか。もちろん抽象的なものを描いたからといってぞんざいにしているわけではありませんけれども、何か違うような気がします。

・・・何か違うというのは、実際にスケッチし、自身が体験した世界だというそのリアリティーの違いかもしれませんね。

四日間この松の木の下にいてずっと描いていた時に、蝶が縄張り争いをしているのか、雄が雌を追いかけていたのかわかりませんけれど、何羽も蝶が飛び去っていきました。その瞬間すごく気持ちがよくて、その一瞬の軌跡を描かなければいけないと思ったのです。確かにその時の気持ちを持っているから、描きたいと思うし描けると思う。私自身が感じたものは、自身でなければ表せないじゃないですか。それを私は見たいと思いますし、顕現させたいと思うのです。

・・・今回は掛け軸も展示されていますが・・・。

掛け軸に関しては今回の個展を逃すとなかなか展示する機会がないと思ったからです。実は正面の「宙」という作品は、本当は屏風仕立てにしたかったんですよ。画廊というホワイトキューブの空間は非現実的な空間だけれども、私自身の意識としては現実の生活空間に近づけたかったといいますか。屏風仕立てにすることによって、折れた波打った空間から本当に蝶が飛び交っているようなイメージが生まれのではないかと・・・。
それに屏風はいろいろな角度から見られるし、見方によってまったく変わるじゃないですか。それに裏があるというのがいいんですよ。

・・・裏ですか。

絵というのは正面からしか見ませんから、裏が感じられないわけですよね。でも屏風は裏側に回り込める。裏側に入ることによって、何となく絵の世界に行けたような気がして・・・。今回は金額的にも無理でしたが、できればそういう空間を創りたい気持ちはありますね。次回は挑戦したいと思います。

〜2月3日まで。

(c)Higuchi Kaoru