■画歴  

1975年

東京都出身

2000年

東京芸術大学美術学部絵画科日本画専攻卒業

2002年

東京芸術大学大学院美術研究科修士課程デザイン専攻描画研究室修了

【主な活動歴】  
1999年 二人展 (池袋 東京芸術劇場)
2000年 新生展 入選 (青山 新生堂)
2001年 個展 Nem・Nem Naive Art (銀座 Pepper’s Loft Gallery)
  やぶのなか 東京芸術大学デザイン科描画研究室展 (銀座 ギャラリー青羅)
  ARTBOX 大賞展 入選 (銀座 ARTBOX GALLERY)
2002年 グループ展 Naive Art (銀座 Pepper’s Gallery)
2003年 個展 レスポワール新人選抜 (銀座 スルガ台画廊)
2004年 日本画・鍛金二人展 REM・REM (銀座 スルガ台画廊)
  新生展 入選 (青山 新生堂)
  やぶのなか 東京芸術大学デザイン科描画研究室展 (銀座 松坂屋別館)
2005年 銀河の会 千住博と若い芽たち (大阪 近鉄百貨店上本町店)
  波濤の會 東京芸術大学デザイン科描画研究室展 (銀座 松坂屋別館、名古屋 松坂屋本店)
2006年 作家の卵展 中島千波研究室展 (長野県小布施町 おぶせミュージアム・中島 千波館)
  他、グループ展など

【コメント】
今までは動物画を多く描いていましたが、古来の日本画がもともと大好きだったこともあり、最近は日本神話や古事をテーマにした作品を創作しています。通して魅かれるのは、動物、人物など「目」のあるモチーフです。やさしく、暖かい目を持った絵を描きたいと思っています。

・・・動物をテーマとした作品と古典をテーマとした作品。二通りのテーマで制作されているのでしょうか。

融合を試みていますが、今回はこのような展示なりました。
古典を題材にした作品は、神話や歴史等、古来より伝来している日本人の原風景をテーマにしようと思っています。また装束などの文献を調べながら描いていますので、研究するのにとても時間がかかり、線描の描写にしてもまだしっかり描き込めていないので緊張の連続です。ですから大好きな猫を描くことは、その生態や愛らしさの感動をそのまま表現出来るので、絵を描きたいという欲求に直接応えられる手段となっています。

・・・ 安田靫彦や前田青邨など院展の先生方は、『史記』にその主題を求めたように思うのですが、1975年生まれの方が古典を題材にされるのは、とても珍しいように思うのですけれど、何かきっかけがあったのでしょうか。

小学生の時に、上村松園さんの作品を見て、その美しさにとても感動した覚えがあります。明治時代の近代日本画に惹かれて、日本画を勉強するようになりまして、特に古典を勉強しようと思いましたのは、大学3年生の時に古美術研究で奈良に行き、2週間毎日、障壁画や仏像に触れたことがきっかけです。学部の時代は、好きな動物ばかりを描いていたのですが、卒業してから自分が感動を受けた近代日本画を、改めて深く知りたい気持ちが強くなりました。またある時期からは、人のご縁を得て古典資料に触れることの出来る環境に恵まれたこともあり、出来るだけ古典を主題とした作品を描くことで、更に学んでいけたらと思っています。

・・・歴史を題材にし、描法は近代日本画を踏襲するような作品が描けたらということでしょうか。

はい。博物館に入るような昔の仏画の様な作品よりも、今の私が共感できるのは、上村松園の時代の近代日本画の雰囲気です。くっきりしていて綺麗で、リアルなところはすごくリアルに表現されている。元々日本画の画材は清々しい空間が出せる特徴があると思いますし、私はその雰囲気がとても好きなので、簡潔で明晰な空間構成もありつつ、平面的な美しさもあるような作品を追求していけたらと思っています。

・・・菅原道真を題材にされているのは?

昔から伝わる古事から、その物語性を描けたら面白いと思ったからです。

・・・物語性ですか?

菅原道真公は平安時代前期、845年の生まれの方ですけれども、その時代ぐらいから史実に基づいた装束の文献が、少数ですが残っていますし、現在は学問の神様として親しまれ、各地に道真公を「天神様」として信仰する天神信仰があり逸話も多く残されています。ですから絵の題材にするには、様々なイメージが沸く興味深いお話が多いのです。
例えばこの「石榴天神(ざくろてんじん)」は、菅原道真公の亡霊が、喉の渇きを潤すためにすすめられた石榴を口に含んで吐き出すと、たちまち炎となったという伝説から生まれたもので、いろいろな絵巻物でも紹介されておりますが、この情景をドラマチックに描いてみたいと思って挑戦しました。

・・・ただ、炎の描写ひとつとっても、例えば不動明王の炎の描写や伴大納言絵巻の炎の描写など優れた描写が残されているから、勉強は尽きませんね。やはり模写はかなりされているのでしょうか。

完璧な模写ではないですが、当時の資料などを描き溜めて参考にしています。だからといって、古画をそのまま描くわけではなく、自分のイメージを使いたいと思うので、そのイメージに合わせた資料を探すようにしています。

・・・時代考証の中でリアリティーを感じさせるように描くというのは、難しいですね。

そうですね。実際に見ている猫の方が、リアリティを持って描くことができますから、古典の作品が、まだまだ浅くなるように思います。例えば石榴天神の顔は昔の絵を参考しながら描いていても、手は本物の手を観察して描いているので、顔と手の表現にずれが出てしまいます。
ですからどこに最終表現がいくのか、まだまだ未熟なところが多く、私の好きな系統の作品とどこで折り合いをつけていくのか課題は山積していますが、今まで自由に画題を選んで描いていた作品と、新しく描き始めた古典が自分の中では、少しづつ近づいてきていて、これから融合していけばいいなと思っています。

〜29日(土)まで。

(c)TOMITA NORIKO