■略歴  

【版画歴】


 

1980年4月から木版画を始める。
2004年4月、新進性・独創性を評価され、イタリア人が選んだ日本の芸術(水彩・油彩・日本画・陶器・書道などすべて)300余の中に入り、ヴェネチア国際芸術協会認定作家となる。

【主な出品歴】


 

CWAJ現代版画展(アメリカンクラブ)・・1987,1997〜2002,2005,2006     
ブダペスト国際展(ハンガリー)・・19 8 7
ミヤコ版画賞展(大阪・都画廊)・・19 8 8
春陽展(東京都美術館)・・19 9 6年から2004年まで毎年
Pacific Rim International Print Exhibition (アメリカ・ハワイ)・・1999
川上澄生美術館木版画大賞展(栃木・鹿沼)・・1999,200 1,2002
飛騨高山現代木版画ビエンナーレ(岐阜・高山)・・1999
Gielniak Graphic Competition (ポーランド)・・2000,2003
ふくみつ棟方記念版画大賞展(富山・福光)・ ・ 2001,2004
Intergraj&a World Award Gallery・Niepotonice 2003(ポーランド)・・2003
Fukumitsu Munakata Memorial Trienniale (ドイツ)・・2004
Lessedra World Art Print 2005,2006(ブルガリア)
5 th International Graphic Triennal BITOLA(マケドニア)・・2006
40th International print triennial krakow (ポーランド)・・2006

開催予定

 

  40th International print triennial krakow(ウィーン、Horst Jansen Museum ドイツ)・・2007
個展(パリ)・・2007.10,12-27

その他、グループ展、個展など多数。

・・・タイトルは「FACE」、シリーズとして制作されているのでしょうか。

「FACE シリーズ」は5年ぐらい前から制作しています。私は80年から版画をやりはじめ、今まで「海と貝のシリーズ」、「抽象シリーズ」、「カップシリーズ」などを制作してまいりました。「FACEシリーズ」は、「カップシリーズ」で用いた手法を基にしております。「カップシリーズ」といいますのは、カップとカップを合わせて乾杯をしたときの情景を絵にしたものです。乾杯にもいろんな思いがありますよね。例えばにぎやかに祝う時、静かに二人だけで祝う時、またしみじみとした夜更けの乾杯もある。そういう二人の横顔をカップに描いて、目を合わせた二人の物語を表現しています。それが「FACEシリーズ」では、顔の部分だけが独立しはじめたんです。

・・・目や鼻、口の線は、スイングするような線描ですね。

凧糸を使っているんですよ。

・・・凧糸を使ったといいますのは?

私は制作する時、まずバックを先に作るんです。その上にどういう顔を作ろうかと何度も試みます。今までいろいろな素材に、チャレンジしたんですけれども、あるとき凧糸を使いましたら、自由に表情ができることに気がついたんです。凧糸を版木に置くことによって、色んなイメージの顔が立ち上って見えて来たのです。よく一筆書きというのがありますでしょ。このごろは目は別ですけれど、頭から口まで、糸一本で描いています。表情が決まったら顔の輪郭を薄い和紙で形作って貼り付け、その上にこの凧糸による線描の表情を載せて、FACEができあがるのです。

・・・その手法ですと表情を自由に作ることができるんですね。

表情というのは、心の中の感情が面に出ることですよね。笑いもあれば怒りや尊敬、慈愛、ユーモア、とぼけなど、色々な表情が顔に出る。そこにとても惹かれました。ただ、表面的に見せるのは嫌なので、バックに人の本質を表現できたらいいなと思っているんです。

・・・それで混沌の中から、顔が浮かび上がって来るように見えるのですね。例えば顔で笑っていても頭の中では何を考えているか分からないし、うれし涙という言葉があるように、顔は泣いていても、実際は喜んでいる場合もある。そういう矛盾した人間の心模様を描いておられるのですね。それを一義的ではなく多義的に描いてらっしゃるから、ご覧になる方は、それぞれの生活記憶をもとにして、いろいろな物語をつぐむことができるわけですね。

例えばタイトルを「喜び」にしてしまうと、そういう顔に見えてしまいますよね。作り手の意図としては、作品の中の表情が何であるかはご観覧くださる方に決めて欲しいんです。それでタイトルはFACEに留めてあります。この作品を見て、ある人は楽しく思うかもしれないし、ある人は悲しく思うかもしれない。この表情から何かを感じ取っていただければ嬉しいんです。

・・・限定をしないので、いろいろな見方ができるということですね。凧糸を使われたのも描き手のアイデンティティーに縛られず、魂を自由に解き放つということですね。

凧糸を使ったことで、自分でも思わないような線がでてきました。初めから意識的に作らないで、偶然性を大事にしているんです。そこに面白みを感じています。ですから初めにまず版木に接着剤やニスを自由に塗りたぐって、偶然にできた形から彫り始め、それを元にして作品を作り上げていきます。

・・・偶然にできた形というのは、新しい発見がありますよね。

そうですね。世界に二つと無いような形も出てきますし、作っていてとても楽しいんです。

・・・しばらくはこのシリーズを続けていかれるのでしょうか。

もう少し続けていこうと思っています。行き詰まるまでやってみて、次に何が見えてくるか。そこに向かって歩いていこうと思っています。

(c)FUJITA YOSHIKO