GALLERY TSUBAKI ギャラリー椿 木村繁之 展 2005.6/6-6/18
 
 

 

「僕はいつも光が入ってくるような明るい柔らかいものを作りたいと思っています。でもあまりこう見てほしいと説明し過ぎずに、見る側に作品をゆだねたい。
作った人を感じないで普通に見てもらえると嬉しいですね」

 

・・・今まで立体と版画の展覧会を隔年ごとにされているとお聞きしましたが・・・。

 版画は作り方が非常に間接的で煉瓦のように積んでいかなければ出来ないものです。でも立体というのは、手の中からすぐに形が立ちあがる、手の歓びのようなものがあります。
 版画を長くやっていると、どこかで切り替えが必要になってきます。そうでないと制作において、版画を作るためのものの見方であったり、版画を作るための構成であったり、そういう風に頭が固まってしまう。版画というのは多分に職人的な要素が多いので、技術としては必要なことなんですが、怖い部分でもあります。それで隔年ごとの制作となりました。

・・・今回は立体と平面が同時に展示されていますね。

 15〜6年前に一度だけ、立体と平面で組んだ展示をしたことがあって、それがとても面白くて、そのときに、絵の空間と立体の空間がつながっていくように感じたんです。
それ以降機会があれば作ってみたいと思っていました。
 ちょうどギャラリー椿が移転してより広い空間になったので、この機会にタブローと立体を組み合わせて展示してみようと、絵と立体が組み合わさっても違和感のないように・・・絵と立体がつながりながら、関係があるようでいて無いようで、全体としてまとまってゆくという展示ができないかなと考えました。

・・・今回の平面には、下地に粘土のようなものが塗られているんですか。

 タブローを描こうと思ったときに、布地のキャンバスでは立体と合わないと思いました。そこで基底材を何にするか考えたときに、パネルの角を落として陶芸で使っている目の細かい土を漉してメディウムと混ぜて下地を作りました。わりあいマットな感じになりましたので、陶の立体といっしょに展示しても、違和感があまり感じられないと思います。

・・・なるほど。下地からかなり共通項があるんですね。それが作風にも描かれている。

 まずぼんやりした絵のイメージから立体を作り。立体が出来あがってからそれを写真に撮って、写真を撮るというのはその立体を使って構成を組んで絵を描くようなものです
 その出来あがった写真を見ながらもう一度絵を描きます。ですから、あの鳥も、この手も、動物もそうですが共通する要素を持っています。立体を通してもう一度絵画に戻ってくる。ちょっとまわりくどいやり方ですけれども・・・。

・・・立体の肌合いが、柔らかそうに見えますね。

 1200度で焼き締めてありますので素焼きに見えても実際は堅いんです。何度か温度を試してみて、ちょうどこの温度が素焼きほど肌が荒くならないぎりぎりの温度だと分かりました。土は5種類の組み合わせで色を作っています。釉薬は使っていません。釉薬を使っていない分だけ、マットな肌合いがあって、土の色そのものなので、そういう柔らかさを感じるのだと思います。

・・・ふわっとした白い柔らかさが心地よさを生んでいるような・・・。

 版画を始めた頃から僕の作品はスカスカだとよく言われました。スカスカというのは描いているところが少なくて白地が多い。でもその間合みたいなものが好きなんです。何も描いていない空間だとか・・・開いている空間が好きで、開いている空間を作るために絵を置いたり、立体を置いたりしているようなところがあると思いますね。ポン、ポンと並んでいるその状態が好きなんです。

・・・余白に美を見いだすということですね。

 僕はいつも光が入ってくるような明るい柔らかいものを作りたいと思っています。でもあまりこう見てほしいと説明し過ぎずに、見る側に作品をゆだねたい。
 作った人を感じないで普通に見てもらえると嬉しいですね。

 木村さんの作品に通底する柔らかさというイメージは、土や木など自然の素材を選んで、そこに手の温もりを与えていく作業から生まれてくるものではないかと思うんですよ。行間から立ち上がってくる陽炎のように余韻がずっと残っていくような・・・。
〜6月18日(土)まで。


木村繁之 関連情報
2004.11 2003.6 2001.6 2001.6_b 1999.6 1998.12
木村繁之オフィシャルページ : http://www.kimura-shigeyuki.net/

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